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  • 2011.06.10 Friday
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○○回目の生日快楽!(2)

(昨日のつづき)
 日はとっぷりと暮れていた。 こじゃれた洋風レストランの玄関先では、エンジュの落ち葉がくるくるくるとタンゴを踊って出迎えてくれた。
 前菜のサラダやアツアツのオニオンリングがテーブルに並び、冷たいビールで乾杯すると、楊先生が話しだした。 がっしりとした身をグイと乗りだし、いたずらっ子のように目を輝かせている。
 「ところでしゃおりん、中国人には年に3回、誕生日を迎える人がいるんだよ」
 「えっと、陽暦と陰暦と……。 あとは?」
 「出生届を、ずらして登録する人がいる。 旧習がのこる農村に多いんだけどね。 縁起のいい双数 (偶数) の日にしたり、進学や進級に有利だからと8月生まれの人を、9月生まれにしたり…… (中国の新学年のスタートは9月)」
 誕生日が年に3回もあるなんて、プレゼントが大変そうだな。

 奥さんの李先生が話をつづける。
 「じつは、私も……。 昔のことで出生日があやふやになってしまって。 10月なのは確かなのよ。 それで縁起のよさそうな8日で登録したんだけれど、大失敗しちゃったの。 数年前から設けられた国慶節のお休みは、10月1日から7日まででしょう。 前後の土日をふりかえて1週間の休みにするから、8日は必ず出勤日になる。 ホントに運が悪いのよ〜 (笑)」
 小柄な李先生が、ころころと笑う。
 「しかも、この話にはつづきがあってね。 あるとき、算命 (中国式の運命判断) の先生に見てもらったの。 生年月日や名前を書いて占ってもらうんだけど 〈おかしいな〜、おかしいな〜〉 って先生がいうの。 〈ちっともわからない、どうしたことだ、占えない〉 って。 それもそうよね、デタラメな誕生日だから (笑)」
 「そんなこともあるんですね」 とオニオンリングをぱくつく私。 当たることもあるものだ。 占いは信じないほうだけれど、いよいよ見てもらう時期だろうか、とちらりと不安が頭をよぎる。

 先生たちの話は、結婚観に移っている。
 「中国の都市部でも、独身の人が増えているよ。 うちの隣の王さん (仮名)。 息子さんは34歳の独身の医者で、仕事も遊びも謳歌している。 あるとき、しびれを切らしたおじいさんがやってきて、脈々とつづく王家の家譜 (家系図) を示しながら、〈お前の代で、家系がとぎれる。 一体どうしてくれるんだ〉 とさとしたそうだ。 当の本人はどこ吹く風だったらしいが……」 と、楊先生
 耳の痛い話である。 それにしても、どこの国にも似たような話はあるものだ。

 「それでもね、今の人たちが結婚しないのも、わからないではないの。 結婚は煩わしいこともあるし、今の時代は1人でも生きていけるから」
 文革のとき、名家の娘だった李先生は、「出身が悪い」 ことを理由に、遠方へ左遷された。 そこで同じように左遷されていた楊先生と知りあい、結婚。 中国語を教えながら、わずかばかりの給料で3人の子どもを育て上げた。

 「冬の野菜といえば、ダイコン、白菜、じゃがいもだけ。 練炭からこぼれた粉に黄土をまぜて、燃料にしたこともあった。 とにかく、貧しくて1人では生きていけない。 力仕事は男にまかせて、家事は女が引きうけた。 協力しないと、ここまでやってこられなかったの」
 文革の話になると、先生方はいつも湿りがちになるけれど、それでもどこか遠い目をして昔を懐かしんでいる。 どんなにひどい時代であれ、2人にとってはかけがえのない青春時代だったからだ。 いまでは、子どもも家庭を持ち、かわいい孫にも恵まれた。 山あり谷ありの超高速ジェットコースターのような人生だけれど、「いまはまあ、幸せなほうだと言えるでしょう」 と見つめあってほほえむ2人。
 「だれしもが歴史の波に翻弄された。 だからこそ昔に比べれば幸せになった、と感じる人は多いですよ」

 誕生日の人に限り、特別にふるまわれる手作りケーキをごちそうになって、レストランを後にした。 藍染めの布をひろげたような深い闇には、白い月がぽっかりと浮かんでいた。
 幸せのモノサシは人によって異なるけれど、私はなんだか幸せムードに包まれていた。そして、先生方のますますの幸せを願わずにはいられなかった。 誕生日というのは 「周りの人に感謝する日」 と教えてくれた人がいたな。 そんなふうに思ったら、来年の誕生日はもっと明るく迎えられるかもしれない。
 「先生、ありがとうございました! またお目にかかります」。 十三夜になりかけの月が、手を振る2人をやさしい光で包んでいた。

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  • 2011.06.10 Friday
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  • 09:40
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コメント
遅くなりましたけど、お誕生日おめでとうぞざいます。北京で楽しくお過ごしください。
茉莉縁さま
メッセージありがとうございます!
年のことさえなければ、楽しい北京生活なのですが……(笑)。
そうそう、お嬢ちゃんの誕生日ももうすぐですね。ちょっと早いですが、おめでとうございます!
これからもよろしくね!
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  • 2006/11/04 10:44 AM
乾杯の挨拶をばっちり決める
乾杯の挨拶をすることになったが・・・・ どうしたものか・・・・乾杯の挨拶はなんて言おうか・・・ 乾杯の挨拶をするとはいえなかなかその機会もありません 上手くやろうにもコツがあります 忘年会・新年会・祝典・祝いの席・結婚式など では欠かせない乾杯の挨拶
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  • 2006/11/20 9:52 PM
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