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参拝問題と 『大地の咆哮』
- 2006.08.17 Thursday
- -
- 11:28
- comments(2)
- trackbacks(0)
- by しゃおりん
小泉首相が靖国神社を参拝してから、2日。 この間、中国中央テレビ (CCTV) など中国の主要メディアは連日、この問題を取り上げているが、日本の野党や市民団体の抗議、ロシアやフランス、シンガポールなど各国メディアの批判を繰り返し伝え、「参拝が国内外の反対を押しきって強行された」 ものであることを強調している。 その裏には、国民の反日感情の高まりを、できるだけ抑えようとする中国当局の苦渋の選択があるようだ。
日本の国連常任理事国入りや歴史教科書の問題に端を発した昨年春の反日デモは、当局が抑制したにもかかわらず、コントロールのきかない騒動へと発展。 国際的にも大きな非難を浴びたからだ。
駐中国日本大使館のメルマガによれば15日午前、北京の同大使館前で、小泉首相の靖国参拝に反対するとして抗議活動が行われたが、小規模なもので被害はなかったという。 ここ2日の街のようすを見るかぎり、通常とほとんど変わりがないし、何か大きな反日行動があったとも聞かない。 「小泉さんはもう退陣するし、我を通す人だから…」 というあきらめムードが、当局のみならず、一般大衆にまで浸透しているようである。
だが、問題は解決したばかりか、ポスト小泉に大きな負担 (課題) となってのしかかっていることを、忘れてはならないだろう。
中国側も、6年連続6回目、小泉首相最後の参拝となった今回ばかりは 「国内外の批判」 を伝えることでしのいだが、ポスト小泉が小泉路線を踏襲すれば、その反動はさらに大きなものになるのではないか。 偉そうなことが言えた権利も義務もないけれど、海外に暮らす日本人の一人としては、「日本向け」 に固執せず、国際的な視野に立ったポスト小泉の英断に期待したいと思うのである。
8月3日未明に急逝された、前上海総領事・杉本信行氏の絶筆 『大地の咆哮 (ほうこう)』 (PHP研究所) は、第一線の外交官であり、チャイナ・ウォッチャーであった氏が、日本の国益を守るために 「中国の光と陰、可能性とリスク」(まえがき) を余すところなく記しているが、靖国問題については次のように分析している。
〈……靖国神社の歴史の中で、合祀の対象すら時代を変遷する過程で大きく変わっている。 ここは政治の力よりも世論の力によって、日本の国益を守る観点から、靖国神社に分祀あるいはそれに代わる実質上のA級戦犯の御霊の移譲を実行するなんらかの手立てを考えてもらう必要があろう。 日本神道が本来備えもつ柔軟性を発揮すべきときなのではないだろうか〉 (258ページ)
杉本氏自身の咆哮が、示唆するところは大きい。
また、中国認識で重要な点についても触れており、いわく
〈各種データによって観念的に中国を観ることではなく、できるだけ机上の理論を排した現実に即して、中国を理解することだと考える。 なかでも、中国共産党が支配する 「中華人民共和国中国」 の現体制と 「中国人一般」 を同一視しないことが肝要だと考えている〉 (7ページ)。
「ホンネと建前」「政策と対策」 という何重もの構造をあわせもつ中国、そして 「官と民」 の如何ともしがたい差異を理解すること……。 杉本氏の中国ウォッチは、時に厳しく、時に温かい。
戦後61年。 日本の行方が、ここへきて大きく問われている。 杉本氏が最後に放ったメッセージの本質を、今こそ見極めるときなのではないだろうか。
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8月3日未明に急逝された、前上海総領事・杉本信行氏の絶筆 『大地の咆哮 (ほうこう)』 (PHP研究所) は、第一線の外交官であり、チャイナ・ウォッチャーであった氏が、日本の国益を守るために 「中国の光と陰、可能性とリスク」(まえがき) を余すところなく記しているが、靖国問題については次のように分析している。
〈……靖国神社の歴史の中で、合祀の対象すら時代を変遷する過程で大きく変わっている。 ここは政治の力よりも世論の力によって、日本の国益を守る観点から、靖国神社に分祀あるいはそれに代わる実質上のA級戦犯の御霊の移譲を実行するなんらかの手立てを考えてもらう必要があろう。 日本神道が本来備えもつ柔軟性を発揮すべきときなのではないだろうか〉 (258ページ)
杉本氏自身の咆哮が、示唆するところは大きい。
また、中国認識で重要な点についても触れており、いわく
〈各種データによって観念的に中国を観ることではなく、できるだけ机上の理論を排した現実に即して、中国を理解することだと考える。 なかでも、中国共産党が支配する 「中華人民共和国中国」 の現体制と 「中国人一般」 を同一視しないことが肝要だと考えている〉 (7ページ)。
「ホンネと建前」「政策と対策」 という何重もの構造をあわせもつ中国、そして 「官と民」 の如何ともしがたい差異を理解すること……。 杉本氏の中国ウォッチは、時に厳しく、時に温かい。
戦後61年。 日本の行方が、ここへきて大きく問われている。 杉本氏が最後に放ったメッセージの本質を、今こそ見極めるときなのではないだろうか。
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- コメント
- 私もこの本を読みました。読んでいる最中に、杉本さんが他界されたことは、非常にショックです。中国と日本を深く愛し理解している杉本氏の最後の警鐘が両国に届くことを願っています。
-
- みんみん
- 2006/08/19 3:01 AM
- みんみんさん、ありがとうございます!
この本ですが、中国の「光と陰」を暴き出しているために、「やはり中国はコワイ」「だから中国はきらいだ」という一部の人たちの論拠になってしまっているのは、残念なことだと思います。杉本氏の本意は、そこにはないと思いますので……。 -
- しゃおりん
- 2006/08/19 11:17 AM
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